時間をかけて作った個別支援計画が、ファイルに綴じられたまま、現場では読まれていない。職員に「○○くんの短期目標は何ですか」と聞くと、答えに詰まる。多くの児発管が、一度は感じたことのある寂しさではないでしょうか。
計画は、児発管が書いて終わりではなく、現場の職員が読んで、支援に反映させて、はじめて意味を持ちます。その「読む文化」を作るのに、新人職員が入る4月はいちばんの機会です。この記事では、新人職員に計画をどう伝えるかを考えます。
この記事の結論 新人職員には、計画の「書き方」ではなく「読み方」から伝えます。担当する子どもの計画を一緒に読み、「この目標のために、あなたの関わりでできること」を一つ決める。それだけで、計画は新人にとって「自分の支援の地図」になります。
なぜ計画が読まれないのか
計画が読まれない理由は、職員の意識の問題だけではありません。
- 計画書が長く、どこを読めばいいか分からない
- 専門用語が多く、日々の関わりとのつながりが見えない
- 計画がファイルに綴じられ、すぐに見られる場所にない
- 読んでも、自分が何をすればいいのかが書かれていない
新人職員にとっては、なおさらです。「計画は児発管が作る難しい書類」と思い込むと、その後も読まなくなります。最初の出会い方が大切です。
新人研修で伝える3つのこと
1. 計画の「読み方」を伝える
新人に最初に伝えるのは、計画書の全体を理解することではなく、「ここだけ読めばいい」という場所です。
- 本人・保護者の意向(この子と家族は何を願っているか)
- 短期目標(この半年で目指す姿)
- 支援内容のうち、自分が関わる場面の手立て
- 配慮事項(安全にかかわること)
この4つを読めば、明日からの支援が変わります。長期目標や総合的な方針は、慣れてから読めば十分です。
2. 担当児童の計画を一緒に読む
新人が担当する子どもが決まったら、児発管と一緒にその子の計画を読む時間を15分とります。「この子の短期目標は『自分から"貸して"と言える』です。あなたが一緒に遊ぶときに、『貸して』のモデルを見せてあげてください」。具体的な関わりに翻訳して伝えると、計画は新人の手に届きます。
3. 記録と計画のつながりを見せる
「あなたが書いた記録が、半年後のモニタリングでこう使われます」と、実際のモニタリングを見せます。前任者の記録の一行が、達成の根拠になっている例を示すと、新人は記録を書く意味を理解します。
計画を「見える場所」に置く
計画が読まれるためには、すぐに見られる場所にあることが必要です。
- 担当児童の短期目標を、記録用紙やタブレットの記録画面の上部に表示する
- 朝のミーティングで、その日来所する子どもの目標を一人一行ずつ確認する
- 活動の計画を立てるとき、「今日の活動は、誰のどの目標につながるか」を書く
計画をファイルから出して、日常の中に置くことで、新人だけでなくベテラン職員も計画を意識するようになります。
新人の「気づき」を計画に返す
新人職員は、先入観なく子どもを見ています。「○○くん、実は電車の話をするときだけ目が合います」といった気づきは、ベテランが見落としていることもあります。新人の気づきを聞き、次の計画に反映させると、新人は「自分の観察が計画を作っている」と感じ、計画への関心がさらに高まります。
児発管の負担を減らすためにも
新人が計画を読み、目標に沿って関わり、目標に関する記録を書く。これが回り始めると、児発管のモニタリングの材料が増え、計画作成の負担は減ります。新人研修に時間を使うことは、半年後の自分を助けることでもあります。
まとめ
新人職員には、計画の書き方ではなく読み方から伝えます。意向・短期目標・関わる場面の手立て・配慮事項の4つを読むことを教え、担当児童の計画を一緒に読み、記録と計画のつながりを見せます。計画を見える場所に置き、新人の気づきを計画に返すことで、事業所は「計画を読んで支援する」場所に変わっていきます。
つむぎあいでは、ケア記録の画面で担当児童の計画の目標を確認しながら記録を書けます。計画を日常の中に置く手段のひとつとして参考にしてください。
