面談で保護者が話すことは、子ども本人のことだけではありません。「上の子が我慢ばかりしていて申し訳ない」「夫が障害を受け入れられていない」「私自身がもう限界で」。こうした言葉を聞きながら、計画書の「家族支援」の欄には「保護者との情報共有を行う」としか書けず、もどかしさを感じたことはないでしょうか。
令和6年度の報酬改定では、家族支援の位置づけが強められ、家族への支援を個別支援計画に含めることが求められています。この記事では、家族の困りごとを計画に無理なく書く方法を考えます。
この記事の結論 家族支援の欄は、「保護者と話す」ではなく「家族の何が楽になるか」を目標として書きます。きょうだい児の時間、保護者の休息、家庭での対応の相談。事業所ができる範囲で具体的に書けば、家族支援は形だけの欄ではなくなります。
家族支援の欄が形だけになる理由
「保護者との情報共有」「連絡帳による連携」と書いてしまうのは、家族支援を「事業所がやっていること」として書いているからです。目標の形で書いていないので、モニタリングで評価もできません。
家族支援も、本人の支援と同じように、「家族のどんな状態を目指すか」と「事業所は何をするか」の組み合わせで書けます。
面談で聞こえてくる家族の困りごと
計画に書く前に、家族の困りごとを整理してみます。よく聞かれるのは、次のようなことです。
- きょうだい児:親の時間が本人に取られ、我慢している。きょうだいの行事に親が行けない
- 保護者の疲れ:夜眠れない、休む時間がない、相談する相手がいない
- 家庭での対応:事業所ではできることが家ではできない。癇癪への対応が分からない
- 家族間の理解の差:父母、祖父母で障害の受け止め方が違う
- 将来への不安:就学、進路、親亡き後
すべてを事業所が解決することはできません。しかし、事業所の支援の範囲で「少し楽になること」は、必ずあります。
計画への書き方
きょうだい児への配慮
「利用日を、きょうだいの習い事の日に合わせ、保護者がきょうだいと過ごす時間を確保する」「きょうだいが参加できる行事を年に1回設ける」。利用の調整そのものが、きょうだい児への支援になります。
保護者の休息
「長期休暇中の利用日を増やし、保護者の休息時間を確保する」「送迎時に保護者の体調を確認し、必要に応じて相談支援専門員につなぐ」。レスパイト(休息)の視点を、計画に明記します。
家庭での対応の相談
「事業所で効果のあった手立て(絵カードによる見通し)を家庭でも使えるよう、カードを作成して渡し、使い方を面談で説明する」「癇癪への対応について、月1回の面談で家庭の様子を聞き、一緒に方法を考える」。事業所の手立てを家庭に渡すことは、最も実践的な家族支援です。
家族間の理解の差
「保護者の希望に応じて、父親も参加できる面談の時間を設定する」「モニタリングの説明を、両親そろって行う機会を設ける」。事業所が両親と話す場を作ることで、理解の差が縮まることがあります。
目標として書く例
「保護者が、家庭での癇癪の対応について『やってみよう』と思える方法を1つ持てる(事業所は、月1回の面談で家庭の様子を聞き、事業所の手立てを家庭向けに提案する)」。このように、家族の状態と事業所の手立てをセットで書くと、モニタリングで「保護者から『絵カードを家でも使い始めた』との報告があった」と評価できます。
できないことを約束しない
家族支援を書くとき、事業所ができないことまで書かないことが大切です。「保護者の心理的な負担を軽減する」と書いても、事業所にできることは限られます。「面談で話を聞き、必要に応じて相談支援専門員や自治体の窓口につなぐ」と、できる範囲を正直に書く方が、保護者との信頼を守れます。
まとめ
家族支援の欄は、「保護者と話す」ではなく「家族の何が楽になるか」を目標として書きます。きょうだい児の時間、保護者の休息、家庭での対応、家族間の理解。事業所の支援の範囲で、できることを具体的に書けば、家族支援はモニタリングで評価できる項目になります。家族支援に関する加算や要件は、最新の告示・通知でご確認ください。
つむぎあいでは、保護者アンケートで家庭の困りごとを面談前に集め、計画の家族支援の項目に反映できます。保護者ポータルで事業所の手立てを家庭と共有する手段のひとつとして参考にしてください。
