「記録がまた溜まっている」「書いてあっても『楽しく過ごしました』だけ」「モニタリングに使える記録がない」。児発管が記録のことで職員にお願いを繰り返し、それでも変わらず、少しずつ関係がぎくしゃくしていく。そんな事業所は少なくありません。
児発管の側からすると、記録は計画とモニタリングの根拠であり、なければ自分の仕事が成り立たない。職員の側からすると、子どもと過ごした後に残る時間は少なく、何を書けばいいのか分からない。どちらも正しくて、どちらもつらい状態です。
この記事では、職員が記録を書けない理由を分解し、責める前にできることを考えます。
この記事の結論 記録が書けないのは、職員の意欲の問題ではなく、「何を書けばいいか分からない」「書く時間がない」「書いても使われている実感がない」の3つが原因です。書く枠を小さくし、時間を確保し、記録が計画に使われたことを伝えることで、記録は変わります。
書けない理由1:何を書けばいいか分からない
「今日の様子を書いてください」と言われても、職員には何を書けばいいのか分かりません。自由記述の欄が広いほど、何も書けなくなります。「楽しく過ごしました」は、書くことが分からないときの正直な答えです。
対策は、書く枠を小さく具体的にすることです。「今日の様子」の代わりに、「計画の目標に関して気づいたことを一行」という枠を作ります。担当児童の短期目標を記録用紙の上部に印刷しておけば、職員は目標を見ながら「今日は絵カードを見て自分から入れた」と書けます。
書けない理由2:書く時間がない
放課後等デイサービスの職員は、送迎が終わった後に片付けと翌日の準備をして、記録は最後です。定時が来れば帰らなければならない。記録が溜まるのは、書く時間が確保されていないからです。
対策は、記録の時間を業務の中に位置づけることです。送迎の合間、子どもが帰った直後の10分、あるいはタブレットでその場で書ける仕組み。「後でまとめて書く」から「その場で一行」に変えると、時間も内容も変わります。お迎えを待つ間に、その日の一行を書いてしまう事業所もあります。
書けない理由3:書いても使われている実感がない
職員にとって、記録は「書いたら終わり」になりがちです。自分の記録が計画やモニタリングにどう使われたかを知る機会がなければ、書く意味を感じられません。
対策は、記録が使われたことを職員に返すことです。モニタリングを書いたら、「○○さんの記録の『11月から自分から入るようになった』という一行が、達成の根拠になったよ」と伝える。検討会で「担当の記録によると」と引用する。記録が誰かに読まれ、判断に使われていると分かると、書き方が変わります。
「書けている職員」を基準にしない
事業所には、記録が得意な職員と苦手な職員がいます。得意な職員の記録を基準にすると、苦手な職員は「自分には無理だ」と感じます。まずは「一行でいい」という低い基準をそろえ、全員が書ける状態を作ってから、内容を深めていく方が、事業所全体の記録は良くなります。
記録の型を決める
記録の型は、次の要素があると計画につながります。
- 日付、担当、活動の内容(短く)
- 計画の目標に関して気づいたこと(一行)
- 保護者に伝えたこと・保護者から聞いたこと
- 特記事項(体調、けが、トラブル)
このうち「目標に関して気づいたこと」だけが、モニタリングの材料です。ここに集中してもらえば、他の欄は簡潔で構いません。
児発管が疲れないために
記録の問題は、児発管が一人で抱えると疲弊します。管理者と一緒に「記録の時間を業務に位置づける」「タブレットなど、その場で書ける道具を検討する」ことを、事業所の課題として話し合ってください。記録は個人の意欲ではなく、仕組みで変えるものです。
まとめ
記録が書けないのは、意欲の問題ではなく、書く枠が広すぎる、時間がない、使われている実感がない、の3つが原因です。枠を「目標に関する一行」に絞り、その場で書ける時間と道具を用意し、記録が計画に使われたことを返す。この3つで、記録は計画につながるものに変わっていきます。
つむぎあいでは、ケア記録をタブレットからその場で書け、記録は計画の目標と結びついてモニタリングの根拠になります。「一行」を仕組みにする手段のひとつとして参考にしてください。
